「優雅な顎」を意味するコンプソグナトゥスは、愛らしくも小さな生き物ですが、実は気性の荒い日和見主義の肉食動物です。体長1m、体高50cmほどのこの種は、成体になっても七面鳥ほどの大きさしかありませんでした。いわゆる「コンピー」の愛称で呼ばれる本種は、ほぼ完全な状態の化石が発見されており、その上化石の保存状態が非常に優れていました。中にはコンプソグナトゥスの腹部の内容物まで化石として残っているものもあり、化石記録の不安定さから古生物学者は彼らが恐竜の中ではあまり一般的ではない食性であったことという詳細で明確な情報を得ることができました。ジュラ紀後期、コンプソグナトゥスは現在のヨーロッパにあたる熱帯の多島海(日本でいう瀬戸内海のような地域)に生息していました。化石証拠（またはその偏り）から、コンプソグナトゥスはジュラ紀のヨーロッパ諸島で唯一の陸生恐竜だった可能性が示唆されており、始祖鳥やランフォリンクスといった小型の飛翔生物と共存し、コンプソグナトゥスは彼らとは全く異なるニッチを占めていました。つまり、コンプソグナトゥスは恐竜界最小クラスにしてその地域における陸上の頂点捕食者にまで上り詰めたのです。その証拠に、トカゲなどの小型脊椎動物の化石が彼らの腹部にあたる部位から発見されており、その小柄な体格と長い尾と手足を活かして機敏に動き回り、トカゲなどを追いかけて捕食していたと考えられています。