「暴君トカゲの王」の意味を冠するティラノサウルス・レックスは、芸術、文学、娯楽など様々な媒体を通してその姿が描かれる恐竜界の大スター。体長は最大で12mを超え、体高も3mを超えるこの生物は、人間はもちろん他の多くの動物を見下ろしながら頭上を跨げるほどに成長しました。ティラノサウルスの成長は生まれてから大地の糧になるまで一貫してゆったりですが、10代の間に急激な成長期を迎えます。そうして生まれたばかりのひょろいチビがみんながよく知るあの巨大生物になるわけですが、最強といえど生活は決して楽ではありませんでした。他の多くのティラノサウルス科と同様に、ティラノサウルスの殆どは成熟して間もなく死にます。そして生まれてすぐに白亜紀の過酷な世界に晒される幼体の殆どは体が成熟するまで生き残ることができませんでした。白亜紀の恐竜が絶滅する直前のマーストリヒチアン時代に生息していたティラノサウルスは、地球を闊歩した最後の大型非鳥類型恐竜の1種であり、既知のティラノサウルス科最後の種でレックス種を最後にティラノサウルス科は途絶えています。この恐竜は、現在の北アメリカ全域の温暖で湿度の高い気候の地域で、多くの草食動物や小型獣脚類と共に生息していたとされ、トリケラトプスやエドモントサウルスなどの有名な草食恐竜を食べていたと考えられています。また、ティラノサウルスは有名なわりにはまだまだ謎の多い恐竜、ティラノサウルスの生態の多くが議論の的になっており、特に食性に関しては死肉を漁る腐肉食専門であった可能性が指摘されていましたが、中空の骨が体重を軽くし素早く動くことを可能にしていたことと、分厚い剣のような頑丈な歯で獲物に食らいつくことができたことから、腐肉食専門の動物だったという説は今日では完全に否定されています。