「すばしっこい泥棒」を意味するヴェロキラプトルは、あの人気恐竜映画で一躍スターとなった言わずと名の知れた恐竜。ハリウッド映画では夜の闇の中主人公たちを追い詰める鱗に覆われた人間サイズのモンスターとして描かれますが、本物のヴェロキラプトルはというと、体長2m、体高1.5mともし仮に映画の中の彼らと置き換わったなら体が殆ど草むらに隠れて見えないくらい小さいサイズでした。また、鳥のように全身に羽毛が生えており、これらの羽毛はおそらく、メスを引き付けるためのディスプレイや、抱卵中に卵を温めるために巣を覆うため、または急こう配を駆け上がる際にスピードを上げたり、狩りをするときにバランスを保ったりするのに役立っていたと考えられています。現在のモンゴルで発見されたヴェロキラプトルは、白亜紀後期の主に砂丘からなる乾燥地帯に生息していましたが、白亜紀最後を謳歌した同期たちの多くよりも早く絶滅したため、小惑星が衝突したその日を迎えることはありませんでした。ヴェロキラプトルは、当時生息地を共有していた闘争化石で知られるプロトケラトプスなどの弱い獲物を求めて広大な砂漠を駆けまわっていました。彼らは「RPR」(Raptor Prey Restraint, 猛禽獲物拘束とも呼ばれる)と呼ばれる彼らに近縁な現在のタカ類などに見られる狩りの手法で小型の獲物を狩り殺害していました。これは獲物を攻撃した際、逃げようと抵抗する獲物を足の鉤爪で強く固定し動きを封じてから、生きたまま食べ始めるというものです。この「RPR」手法は、ドロマエオサウルスに特徴的な鎌状の爪の目的、つまり押さえつけるという目的を説明するのに役立つモデルでした。また、当時のモンゴルは乾燥地帯ではありましたが少なからず森林があった可能性があり、それに加えて彼らのあの鉤爪のもう 1 つの用途が木登りだった可能性もあることを考えると、小型草食動物がある日食い扶持を探して森の中を歩き回っていたら、樹上からの一撃で生涯最悪の瞬間を迎えたなんてことは日常茶飯事だったかもしれません。